令和6年6月定例会 本会議 一般質問(江西議員)
今後の都市計画について
江西 照康
森市政最後の令和3年3月議会において、市街化調整区域内の農地の転用の業務に当たっては柔軟に対応すべきと考えるが、当局の見解を尋ねるという質問に対し、富山市として柔軟に取り組む姿勢が垣間見られる前向きな答弁をいただいている。
この令和3年3月定例会の答弁以降に農振除外の考え方は変わってはいないか。
農林水産部長
令和3年3月定例会での当時の答弁は、農地法に基づく市街化調整区域内における農地区分ごとの農地転用の許可基準について御説明したもので、農振除外の考え方については、農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法第13条第2項に農振除外が可能となる要件として規定されている。
法の規定に基づき適正に審査するという考え方はこれまでと何ら変わっていない。
江西 照康
何ら変わりはないという回答ではあるが、私が感じる実感と乖離している。そもそも旧富山市の線引き都市計画区域内における市街化調整区域の農用地は100%農業振興地域だ。だから、農業振興地域からの農振除外と農地転用というものは表裏一体のものであり、分けるべき項目ではない。
私がこの疑問を持つに至ったのは、たまたま具体に相談された第3種農地におけるクリニックを建築を目的とする農振除外の願い出に不適合の判断があったからだ。
この第3種農地は原則許可となっているのに、農振除外ができない理由について農林水産部の考えを問う。
農林水産部長
市街地または市街化の傾向が著しい区域内にある第3種農地は、農地法上においては農地転用が原則許可となっている。
しかし、農振法に基づき、市町村が定める農業振興地域内にある全ての農用地においては農地転用の手続をする前に必ず農振除外をする必要がある。
このため、農振法に規定する6つの要件を満たさなければ農振除外できないものだ。
江西 照康
農振法と農地法は違うのだと。農振法でこれがクリアできないという話であり、この点が今までの姿勢との変化が出てきている感じるものだ。農地を転用したいといった場合に、富山市のホームページ中の表現に、農振除外と農地転用、それぞれ別の説明はない。では、農振除外の要件について、この第3種農地で認められない要件をもうちょっと補足して説明してもらいたい。
農林水産部長
農振除外の要件については、1つに、農用地以外の土地とすることが必要かつ適当で農用地区域以外に代替すべき土地がないこと、2つに、地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがないこと、3つに、農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと、4つに、農業経営者の農地利用集積に支障を及ぼすおそれがないこと、5つに、土地改良施設の機能に支障を及ぼすおそれがないこと、6つに、農業基盤整備事業完了後8年を経過していること、以上の6つの要件を全て満たすことができなければ農振除外は認められないことになっている。
江西 照康
最初の、農用地以外の土地とすることが必要かつ適当で農用地区域以外に代替すべき土地がないこと以外は、全て第3種農地であれば条件を満たしている。当然、今回私が関わった申出者は、自分にとってそこが適当だと思っているし、代わりの場所もないと思っている。
一体どういった観点からそうではないという判断に及ぶのか、どうして農林水産部にその判断を否定するノウハウがあるのか、それも含めて尋ねたい。
農林水産部長
「必要かつ適当」については、当該土地を農用地等以外の用途に利用することについて、具体的な転用計画等があること、不要不急の用途に供するために農用地区域から除外するものではないこと、当該農用地等以外の用途に供するために通常必要とされる面積から見て農用地区域からの除外が過大なものではないことと示されている。
また、「代替性」については、1つに、農用地区域外の土地に家屋の新築が可能な土地があるにもかかわらず、農用地区域からの除外を行う場合は要件を満たさない。土地価格が安価であることを理由として農用地区域外の土地をもって代えることが困難とすることは適当ではないと示されている。このガイドラインと照らし合わせ、必要に応じて国や県にも相談しながら審査を行っている。
江西 照康
今の説明はどれも本人にとってはクリアしているわけだ。そこである必要があるかないかというのは商工労働部に聞いたわけでもないし、福祉保健部に聞いたわけでもなく、活力都市創造部に聞いたわけでもない。それぞれの要件を農林水産部が判断しているというけれど、相談する県や国の圧力と立場の弱い一個人の申出をてんびんにかけ、断っているのではないかと感じる。
そこで過去5年間というと、最初の2年間は森市政で、後の3年間は藤井市政ということになるが、農振除外の実績について述べてみる。都市計画法で認められた商店(クリニック含む)これを認めた件数が、森市政最後の2年間で7件あるのに比して、令和3年度になるとゼロ件、令和4年度になると1件、令和5年度もゼロ件。都市計画法でも認められている商店が、森市政最後の2年間で7件あったものが1件になっている。考え方は変わっていないというけれど、気づかないうちに変わっている可能性は、十分高い。十分に極端な数字だと思う。
私は何度も議会で話しているが、富山市の都市計画の盲点を突いた立山町の問題もしっかりと認識していただきたい。
農林水産部は、富山市の機関の1つだ。必要以上に農振除外を認めないということで多くの犠牲を払う。認めないことで誰を幸せにするのか、また何が達成できると考えるのか。
農林水産部長
農林水産部としては、農地を確保することが1つの大きな使命だと思っております。
江西 照康
地域計画でこの農地を誰が耕作するのかというのを地元で話し合っても、ここは絶対に埋まらないだろう。コメの価格は自由競争だけれど、農地だけは縛りつけるぞというものが続いている。農林水産部は農家の幸せというものを考えていただきたいと思う。
集落が衰退していく中で農振除外に対する市長の見解をお尋ねする。
藤井市長
私も以前、議員をさせていただいておりましたが、江西議員御指摘のこの農地法、農振法、そして都市計画法に係るハードルを越えるために必死に汗をかいてきた経験がある。
法の目指す、目的とするところば非常にハードルが高いという認識は多分一致している。法の趣旨をしっかりと認識し、法に厳格であるという姿勢は変わりませんが、ある一方で、地域の衰退を招いていく、そういうおそれがあるという御指摘については真摯に受け止めて、今後一緒にその解決について関係部局も含めて考えてまいりたいなというふうに思っている。
江西 照康
森前市長が最後の答弁で、優良農地を1平米潰すことも駄目だというような文化の持ち主が県の農政の現場にいる、北陸農政局にいると。そこから改めなければならないと。森前市長は首長としてそのような姿勢を持っていた。
決めるのは藤井市長だ。法の精神に基づく柔軟な対応をお願いしたい。