令和6年6月定例会 本会議 一般質問(金岡議員)
災害廃棄物対策について
金岡 貴裕
災害廃棄物、いわゆる災害ごみについて、本市は仮置場を設置しなかったが、県内では、被害の大きかった高岡市、氷見市も含め、砺波市、小矢部市、南砺市、射水市、上市町に設置された。
2024年6月13日(木)本市では、平成29年3月に富山市災害廃棄物処理計画を策定し、災害廃棄物の適正処理及びリサイクルを迅速かつ円滑に実施できるよう、災害対応の組織体制や災害廃棄物の処理方針、さらには仮置場の設置、運営管理等を定めている。
本市が設置しなかった理由について問う。
環境部長
本市では、発災翌日の本年1月2日より被害に遭われた方々からの電話応対に当たり、1月5日までに倒壊した食器棚や割れ落ちた外壁等に関するお問合せが85件あった。
これらについては、町内のごみ集積場に出していただくか、環境センターの収集車で直接収集するほうが早く処理ができると考え、市民の皆様にはこのいずれかの方法による対応をお願いした。
また、家電リサイクル法の対象4品目については、本年1月16日までに壊れたテレビに関するお問合せが23件にとどまったところであり、市民の皆様には御自身でリサイクル券を購入して処理していただいた。
このほか、ブロック塀等につきましては、本年1月16日までに154件の問合せがあり、職員が現地調査を行った結果、多くの被害が確認されたことから、仮置場の設置についても検討したが、重いブロック塀等を仮置場まで運搬するには、相当な労力が伴うこと、御高齢の世帯が比較的多く、運搬する手段を持っておられないこと、余震が続いている中でのt運搬作業には危険が伴うことなどの理由から、被災者の安全確保を最優先に考え、各世帯の被害の規模に応じ、環境センターの収集車で直接収集に赴くか、解体及び撤去までが必要となるケースについては専門業者に委託し処理することとしたところであり、以上のことも踏まえ、災害規模等を総合的に判断した結果、仮置場を設けなかった。
金岡 貴裕
仮置場を設置するのかどうかは災害廃棄物処理計画において定めているが、本市の災害廃棄物処理計画において想定している災害の規模について伺う。
環境部長
本市では、平成29年3月に富山市災害廃棄物処理計画を策定し、災害廃棄物の適正処理及びリサイクルを迅速かつ円滑に実施できるよう、災害対応の組織体制や災害廃棄物の処理方針、さらには仮置場の設置、運営管理等を定めている。
本計画における被害想定については、富山市地域防災計画と整合性を図り、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの被害として呉羽山断層帯を震源とする震度7の地震が発生した場合を想定している。
その想定する被害の内容は、避難者数が12万8,039人、住宅被害については、全壊が2万5,764棟、半壊が6万8,567棟などとしており、これらの被害による災害廃棄物の発生量は推計値として約467万トンを見込んでいる。
金岡 貴裕
災害廃棄物処理計画における仮置場に必要とされる条件について問う。
環境部長
本市の災害廃棄物処理計画では、仮置場に必要とされる条件として、隣接道路が大型車両の往来可能な幅員であること、緊急輸送道へのアクセスがよいこと、学校、病院、指定避難所など、環境保全上、特に留意を要する施設に隣接しないこと、広大な敷地面積であることなどを定めている。
また、国の指針では、仮置場の設置箇所の選定については、災害の種別や規模に加え、道路や橋梁などのインフラの被害状況や仮設住宅、自衛隊の野営場などの設置箇所、さらには、周辺住民の衛生環境や安全面に配慮した上で判断する必要があるとされていることから、今後、他都市の状況を調査し、防災危機管理部や財産所管部局等との協議を行うなど、適切な選定方法を検討してまいりたい。
金岡 貴裕
今回の能登半島地震を受けて、災害廃棄物処理計画の見直しを考えていないのか伺う。
環境部長
今回の能登半島地震により、本市においては、倒壊したブロック塀等の撤去や半壊以上の判定を受けた家屋について、所有者に代わって解体撤去を行う公費解体などを実施している。今回の地震により得られた経験を今後の本市の災害廃棄物処理計画に生かし、災害廃棄物対策を強化することは大変重要であると考えている。
このことから、今後は地震や過去に大規模災害の被害を受けた他都市の状況調査などを行いながら、富山市災害廃棄物処理計画の見直しや災害廃棄物処理に係る初動対応を円滑かつ迅速に実施するためのマニュアルの作成について検討してまいりたい。
金岡 貴裕
仮置場の搬入時に分別を行うと大幅な待ち時間が想定されるため、この災害廃棄物の受入れだけに限定した仮置場の設置を考えていないのか伺う。
環境部長
富山市災害廃棄物処理計画において、仮置場については、手作業や重機作業による粗選別を行う場所として設置する1次仮置場、1次仮置場で粗選別した災害廃棄物を集積し、破砕、選別するとともに、再資源化を行う2次仮置場の2種類を設けることを想定している。
国からは、仮置場に限らず、災害廃棄物の処理については安全を第一とし、スピード感を持って、費用にも配慮するという災害廃棄物処理の3原則が示されており、本市としては、国や県、全国市長会や全国都市清掃会議から支援要請を受けた地方自治体、並びに県や本市が災害協定を締結している団体や民間事業者と連携を図りながら災害廃棄物の適切な処理に努めたい。
なお、災害時は想定外のことも生じることから、そうした状況下における仮置場の円滑な運用について他都市の事例や実情を調査・研究してまいりたい。
災害関連死について
金岡 貴裕
災害関連死を認定する審査会の設置に向けた条例の整備について見解を伺う。
福祉保健部長
近年、国内では地震や豪雨などによる災害が頻発するなど、自然災害のリスクが高まる中、今後、災害関連死が疑われる事例やいつ起こるか分からない災害に備えて審査会の設置が必要であると認識しており、早急な条例の整備に向けて準備を進めてまいりたいと考えている。
市内高等教育機関との連携について
金岡 貴裕
市内にある高等教育機関との連携した取組の現状について伺う。
企画管理部長
各高等教育機関と連携した取組としては、学生に本市のまちづくりへの理解を深めてもらうため、富山大学や富山国際大学の授業に本市職員を派遣して講義を行う取組、各大学の教員に市の附属機関の委員に就任していただき、専門的・学術的な見地から意見をいただくこと、大学コンソーシアム富山による地域課題の解決に資する方策の提言や富山大学と県、市の連携によるデータサイエンティストの育成などにも取り組んでいる。
金岡 貴裕
人口減少社会にあって、高度複雑化する地域課題の解決に向けて、これまで以上に高等教育機関と連携を深めていくべきと考えるが、所見を伺う。
企画管理部長
本市では、産学官の交流・共創の場として令和2年度にSketchlabを開設しており、富山大学と富山国際大学の教員や市内企業の若手経営者、市職員、さらには学生の皆さんなどの多様な主体が行政課題、地域課題の解決に向けて方策の検討などを行っている。
今後とも、こうした高等教育機関との連携を一層深めて、多様な分野における人材の不足や地域コミュニティーの維持などの喫緊の困難な課題への方策を見いだしてまいりたい。